被相続人とは、相続される人つまり今回の相続の対象となっている亡くなった方のことを言います。相続人とは、相続する人つまり妻や子等を言います。相続の手続きでまず最初に手掛けるのが相続人の調査です。被相続人の戸籍を遡り出生まで調べます。被相続人が認知した子や前妻との間の子んなどがいればその人も相続人になります。
被相続人が死亡し相続が開始すると、相続財産は相続人に承継され、相続人が数人いるときは、相続財産はその共有状態になります。その共有状態から、各相続人の取得する財産を決め、共有状態を解消する手続きのことを遺産分割といいます。協議で決まらない時は、家庭裁判所で、調停、審判にて決めることになります。
平成29年5月29日から始まった制度です。被相続人等の戸籍謄本の束を法務局に提出し、併せて相続関係の一覧図(法定相続情報一覧図)も提出します。登記官がその一覧図と戸籍等を確認し、不備がなければその一覧図に認証文を付した書面を交付してくれます。その一覧図があれば、各金融機関での相続手続きを戸籍の束を提出することなく、簡易にすることができるようになります。(ただし、始まったばかりの制度なので、即座にすべての金融機関等でスムーズに手続きが進むかどうかは、まだわかりません。)
遺贈とは、遺言によって遺言者の財産を無償で譲渡することです。相続財産の全部又は一部を遺贈することを包括遺贈といい、具体的な財産を遺贈することを特定遺贈といいます。
兄弟姉妹以外の相続人のために、必ず留保しておかなければならない遺産のことです。父母等の直系尊属のみが相続人の時は相続財産の3分の1、その他の場合は2分の1が全体の遺留分となります。これを遺留分権利者の相続分割合で計算します。遺留分を請求する場合は、期限(自己の遺留分が侵害されていると知ってから1年、相続開始の時から10年)があるので注意が必要です。
遺言の内容を実現する一切の事務を行う者のことです。遺言によって遺言執行者を指定することもできます。遺言執行者がいないときは家庭裁判所に選任を申し立てることができます。遺言執行者は相続人など利害関係のある者がやる場合も多いですが、遺言内容によっては司法書士等の専門家にやってもらう方がよい場合もあります。
遺言書の検認とは、公正証書遺言を除く遺言書を家庭裁判所に提出し、遺言書の形式その他の状態を調査確認等してもらう一種の証拠保全の手続きです。家庭裁判所で遺言の内容・形式等が記録されるため後日の偽造・変造などの防止を図ることにもなります。しかしながら遺言書に書かれている内容自体の効力の有無を判定するものではありません。
相続が発生すると通常はとはプラスの財産だけでなくマイナスの財産も承継します。このプラスとマイナスが不明の場合又はマイナスが多いことが予想される場合、限定承認を申し立てます。限定承認とは相続によって得た財産(プラス)を限度として、被相続人の債務等を弁済するという留保付で、相続を承認することです。なお、限定承認は相続人全員が共同してしなければならないことや自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければならないなどの規定があります。
代襲相続とは、被相続人(亡くなった人)の子が相続開始以前に亡くなっている等によって相続権を失っているとき、その相続人の子が代わって相続人となることです。
被相続人(亡くなった人)の子が相続開始以前に死亡している場合には、その相続人の子(孫)が代襲相続(上記)しますが、孫が死亡しているときはひ孫が相続することになります。ただし、この再代襲相続は兄弟姉妹が相続人となるときには認められておらず、代襲相続までとなります。
ある相続人が被相続人の財産の増加や維持に特別貢献した場合に、その相続人に他の相続人と比べ、より多くの相続分を認める制度です。
被相続人から遺贈又は婚姻・養子縁組・生計の資本として受けた贈与などのこといいます。特別受益を受けた相続人は、相続人間の公平を図るために、相続開始時の遺産に特別受益の価額を加えたものを相続財産とみなして計算し、その価額から特別受益を控除した残額を受け取ります。
秘密証書遺言とは遺言の内容を秘密にしながら、その存在を明らかにするよう作成する遺言です。遺言者が遺言証書に署名押印し、封筒に入れ同じ印鑑で封印し、証人2人以上の立会のもと公証人に提出し、公証人において所定の手続きを経て作成します。